認定通知書が先日(4/2)届き、要介護2に決まりました。
区分は、要支援1,要支援2,要介護1,要介護2,要介護3,要介護4,要介護5の7区分あり、いままでは要支援1でしたが、3段階上がって要介護2になりました。
認定結果に違和感
一気に区分が3段階あがったことに、納得できない点がありました。
確かに1年前に比べれば、父の老化が進んでいることは間違いありませんが、介護区分が3段階も上がるほど父の老化が進んだという実感がありません。
認定結果と介護している側の実感とが乖離していて、しっくりこないのです。
認定結果に関する具体的な説明が一切記載されていないので、何が問題で介護度が上がったのか、さっぱりわかりません。
「あなたの介護区分は要介護2です。」これだけです。
介護サービスを受けるからには、介護サービスについてキチンと勉強をして、理解した上で、納得のいく、適切なサービスを受けられるようにする必要があるようです。
不勉強だと、言葉は悪いですが「いいなり」で介護サービスを受けることになります。
大切な父親の介護であればこそ、「おまかせ」ではいけません。
そこで、認定までの手続きと、どのような基準で「要介護2」の判定がくだされるのか、調べてみました。
認定までの手続き
認定までの手続きは、次の手順になります。
1.要介護認定申請をする
保険者(市町村)に、要介護認定申請を行います。
2.認定調査
自宅に調査員がきて、認定調査を行います。
調査員は、原則として市町村の職員ですが、区が嘱託した者の場合もあります。
調査項目は、①身体機能・起居動作、②生活機能、③認知機能、④精神・行動障害、⑤社会生活への適応、⑥過去 14 日間に受けた医療 があり、それぞれの項目に詳細な調査内容が10項目から15項目くらいあります。
3.主治医意見書
市町村は申請書で指定された医師に対し、主治医意見書の作成を依頼します。本人は、外来でその医師に診察をしてもらいます。医師は主治医意見書を作成し、市町村に提出します。
医師は、次の項目について意見書を作成します。
①傷病に関する意見、②特別な医療、③心身の状態に関する意見、④生活機能とサービスに関する意見、⑤特記すべき事項
4.一次判定
市町村は、認定調査の結果と主治医意見書の内容をコンピュータに入力し、全国一律の基準により介護にかかる時間(要介護認定等基準時間)を一次判定結果として算出します。
コンピュータが算出した出力結果に基づいて、介護認定審査委員が一次審査を行います。
介護認定審査委員に任命されるのは、医師、歯科医師、薬剤師、看護師、保健師、介護支援専門員、精神保健福祉士、社会福祉士、介護福祉士、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などの資格者です。
5.二次判定
5名以上(更新申請の場合は3名以上)で構成される合議体により介護認定審査会が行われ、一次判定結果および認定調査結果、主治医意見書を総合的に勘案し、要介護度および認定有効期間が最終的に判定されます。
6.通知
市町村から「認定通知書」と要介護認定の結果を記載された「介護保険被保険者証」が書留で送られてきます。
要介護認定等基準時間て?
このようなプロセスを経て認定されるのですが、このプロセスの一次判定の中で使われる全国一律の基準により介護にかかる時間(要介護認定等基準時間)に違和感を覚えました。
介護区分ごとに次のように要介護認定等基準時間が設定されています。
区分 | 要介護認定等基準時間 (介護をするために必要な時間) |
---|---|
要支援1 | 25分以上32分未満 |
要支援2 | 32分以上50分未満 |
要介護1 | 32分以上50分未満 |
要介護2 | 50分以上70分未満 |
要介護3 | 70分以上90分未満 |
要介護4 | 90分以上110分未満 |
要介護5 | 110分以上 |
要介護2の介護をするために必要な時間が「50分以上70分未満」と言われても、何のことやらさっぱり分かりません。
介護をしている側としては、この時間を実感を持って受け入れることが出来ません。
要介護認定等基準時間は、全国の介護保険施設(特別養護老人ホーム、老人保健施設、介護療養型医療施設)に入所(入院)している高齢者を、48時間にわたり、1分刻みで、どのような介護サービスがどのくらいの時間にわたって行われたかを調査した結果に基づいています。
60施設、3519人分を対象として調べたデータです。
これを一分間タイムスタディ・データといいます。
認定調査の結果と主治医意見書の内容をコンピュータに入力し、全国一律の基準により介護にかかる時間(要介護認定等基準時間)を算出する一次判定ソフトが開発されました。
このソフトには、入力データに対して、一分間タイムスタディ・データに基づく統計的な処理を施して、要介護認定等基準時間を算出するロジックが組み込まれているのです。
しかし、一分間タイムスタディ・データは介護保険施設から取得したデータなので、在宅介護の実態を反映していない、という問題が指摘されています。
たとえば、3519人に対して調査を行っていますが、このうち約半数が要介護4と要介護5の高齢者で、要支援1は2人、要支援2は10人しか含まれていません。
つまり、要支援1や要支援2は、明らかにデータ不足なのです。
調査員の調査データは大丈夫?
もう一つ、実態を把握していないと思われるデータがあります。
それは、認定調査のデータです。
身体機能・起居動作や生活機能などの実態を、1回の調査で把握するのは困難なことです。
特に身体機能などは、調査した日の体調によって、良い結果になったり、悪い結果になってしまうものです。
介護者をある一定の継続した期間にわたって観察をしなければ、実態を把握することは難しいでしょう。
一分間タイムスタディ・データと認定調査データが実態を反映していないデータだとしたら、認定結果も実態とは異なるものになります。
身近で介護している者としては、この1年で、3段階も介護度が上がったとは思えません。
介護度が上がったのは、はじめの要支援1の判定が、実態を反映していない甘い判定だったと思わざるを得ません。
ケアマネジャーの意見は反映されているの?
では、なぜ、今回「要介護2」に認定されたのでしょうか。
そして、要介護2は、父の実態を反映した判定なのでしょうか。
要介護2に認定されたのは、ケアマネジャーの意見が反映されたからだと思っています。
ケアマネジャーが父の担当になって1ヶ月ですが、この間、何度か父と会っていますし、デイサービス担当からケアマネジャーにデイサービス利用時の父の様子が報告されています。
ケアマネジャーが、父の状態を把握してきたころです。
仮に、ケアマネジャーが意見を求められたとした場合、こうした知見に基づいて意見することができたと思います。
ケアマネジャーは利用者と利益相反することがあるので、ケアマネジャーへの聞き取りは公には規定されていませんが、ケアマネジャーの意見は有益なものです。
また、先日、ケアマネジャーが「要介護2」になる可能性があることをほのめかしていたことも、ケアマネジャーの意見が反映されていると思う理由のひとつです。
要介護2の判定は、父の状態をある程度観察したケアマネジャーの意見が反映されていて、より実態に即した判定になったのだと思います。
初回認定の要支援1の有効期間が1年間という比較的短期間なのは、1年後の更新手続きの時にケアマネジャーの意見を取り入れることで、適正認定に修正することを見込んでいるからなのでしょう。
介護利用は受け身ではだめ!
調べた結果、私が抱いた「なぜ一挙に三段階も介護区分があがったのか?」という疑問がどこにあるのかが見えてきました。
一つ目は、第一次判定に使われている「一分間タイムスタディ・データ」が父のような在宅高齢者の実態を反映していないことです。
二つ目は、調査員の1回の調査だけでは、実態を把握するのは困難だということです。
三つ目は、ケアマネジャーの意見が判定材料として使われているのか、使われていないのか、不明であることです。
実態を正確に反映するためには、ケアマネジャーの意見を取り入れる明文化された仕組みが必要だと思います。
家族としては、なるべく実態に即した認定をしてほしいと望んでいます。
1通の認定通知書で、介護サービスの内容が大きく変わってしまうのですから、実態に即していることは最重要です。
問題や課題を抱えている介護サービス制度です。
なので、介護サービスを利用する側は、認定結果を鵜呑みにしてはいけません。
介護サービスの利用にあたって、ケアマネジャーにすべて一任する姿勢であってもいけません。
父、私、ケアマネジャー、デイサービス担当と連携を取りながらの介護です。
誰よりも身近で介護している私が介護サービス制度を勉強して理解し、納得のいく、適切なサービスを父に利用してもらえるようにすることが肝要です。
今回の認定通知を受けて、父は介護が必要な状態であることを再認識しました。
父の様子にアンテナを張って、先手を打てる介護をしていきたいですし、より長く、自分の足で歩いて、バスに乗って出かけることができる状態を保てる支援・介護をしていきたいと思います。